先日、人材業界のイベントでSESの将来について聞かれることがありました。
SESに関わっているみなさんは、SES自体がなくなるのではないかという可能性を考えたことがあるでしょうか?
結論から言うと、SESは今後十数年間はなくなりそうにありません。
今回はその理由を調べてみました。
SESが存在している背景
そもそもSESとは何だろう?
SESを簡単に説明すると、とある企業にエンジニア(または他の職種)を業務委託契約によって就業させることを言います。
また、企業から「業務委託でエンジニアをください」という需要を受けて、エンジニアを入れる企業のことをSES企業といいます。
SESの背景からもわかるように、SESやSES企業の存続は、「業務委託エンジニアの需要があるかどうか」にかかっていると言えるでしょう。
SESについて詳しく知りたいかたはこちらをご確認ください。
これから業務委エンジニアの需要はどうなるのか?
SESの存続は業務委託エンジニアの需要にかかっているということなので、業務委託エンジニアの需要が今後どうなるのかを見ていきます。
結論としては、現在の数倍の需要が見込まれています。
こちらの業務委託需要についても以下のページで解説しています。詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
SESの需要がなくならない理由。クライアント企業のメリットとは?
理由① リスク対策。事業縮小に耐えることができる
事業縮小への準備が必要な理由
IT業界では、開発したサービスがヒットしなかった際に、事業を縮小することが多くあります。
正社員が多く存在する会社ですと、経営危機に直面した際に事業縮小をすることができずにそのまま倒産してしまう可能性があります。
業務委託であれば、事業縮小の際にすぐに契約終了させることができますよね。
事業縮小が発生する背景
IT業界においてヒットサービスを作れる可能性は10%未満と言われています。
この確率は上場企業が開発したサービスを含んで10%未満という数字です。
残りの90%は事業としてヒットしなかったサービスなので、事業縮小の対象になると考えられますよね。
事業縮小へのリスク対策
先述の背景もあり、IT業界では会社メンバー中の非正規社員比率を高めに設定する傾向があります。いつでも事業縮小をできる状態にするためです。
ゲーム系やメディア系などのベンチャー企業IRの情報ですと、非正規社員を60%で固定しているという会社がいくつかあります。
理由② 契約自体が簡潔。正社員と同様の業務も依頼できる
業務委託であっても、正社員と同様の業務を依頼したいというニーズがある
先程、「正社員の比率を下げて業務委託比率を上げる」のようなことをかきました。
これは、業務委託が正社員と同じような業務をできるからこそ、業務委託比率という数字だけの監理ができるんです。
実態として、業務委託は正社員と同様の業務を担当している
SESは業務委託ではあるものの、実態として正社員と同様の業務でも依頼をすることができます。
準委任契約では「作業を依頼する」ということになっていますが、目的を伝えた上での業務は作業にあたります。
この前提であれば、社員とおなじような業務は基本的にすべて頼むことができます。(ディレクタやほかメンバーの監理などは頼むことはできません。ですが一般メンバーとしての業務はほぼすべてを頼むことができますよね。)
準委任契約についてはこちらを見て頂くと深く理解できると思います。
理由③ 人の入れ替えが容易。人間関係のトラブル回避ができる
エンジニアは人間関係のトラブルが発生しやすい?
エンジニアはコミュニケーション下手な人が多くいる職種だと言われています。
このことから 他職種と比較して、人間関係のトラブルが比較的多く発生してしまうという職種でもあると言えます。
人間関係のトラブルは離職に直結してしまうので、企業としては避けたい事柄です。
人間関係のトラブルが発生した時の企業人事の対処法
もし人間関係のトラブルが発生しても、業務委託メンバーが起こしたトラブルであれば、極端な話、契約解除をすれば問題は解決します。
業務委託メンバーの契約を切ることで、正社員は自分が守られたという気持ちにもなり、会社へのエンゲージメントが高まります。
(とはいえ、SESや業務委託のエンジニアも「めんどくさいチームから早く離れたい」と思っているものなのでお互いにとって良いことなのかもしれません。)
理由④ 短期で見ると低コスト。教育コストがかからない
教育コストはどの程度かかる?
誰でもできるような「ロースキル案件」というような仕事を行う際には、会社で採用をしようと思うと採用費用と教育コストがかかってしまいます。
1人採用して、ロースキル業務を担当させるまでには、ざっくり40万円がかかると言われています。
- 採用費用 20万円
- 教育コスト20万円
教育コストをかけずに業務委託を採用する判断基準
この金額をかけるのであれば低単価の業務委託メンバーを採用したほうがメリットがあると企業人事は判断します。
特にその業務が短期で終了したり、離職率が高い業務を担当させる場合はよりその傾向にあります。
先述の採用費用、教育コストだけではなく、採用までの期間さ採用業務の手間などもありますからね。
(SES営業の方は、短期バイトの募集求人を出している企業に、ロースキル要員の営業に行くと契約できることがあります。労力都契約数の割が最初は合わないと思いますので、枠数の多い企業を狙いましょう。)
それでも「SESがなくなる」と言われる理由は?
これでもSESがなくなると言われているのには理由があります。
それは需要側の都合ではなく、供給側の都合を語っているからです。
供給側とは、エンジニア側のことですね。エンジニアがSES領域に入ってこないので、「(供給がなくなるから)SESがなくなる」といわれる文脈であることが多いです。
ただ、需要は今後伸びていくので、SESは形を変えて確実に残ります。SESは大きく分けて2タイプありますが、今後は前者のSESはなくなっていくのではないでしょうか?
- エンジニアを正社員で囲って紹介するタイプのSES企業
- フリーランスや他社のエンジニアを紹介するタイプのSES企業
どちらにしろ顕在化した需要に対してはなにかしらの事業によって供給がなされるものです。形を変えてSESは残っていくでしょう。
まとめ SESはなくならない
今回は「SESはなくならない」という内容を記載してきました。
主に以下の流れで解説させていただきました。
- SESは将来的に需要が増えていく
- 需要があるからSESはなくならない
- SESは企業にとって、使う理由がある
- 正社員としてエンジニアを囲うタイプのSES企業がなくなっても、SESは残る
エンジニア、営業、企業人事から質問などもあればコメントぜひともお願いします。
今後はできるだけ返答や、質問に対しての返答記事などをつくって行こうと思っています。