SES事業における商流とは?商流飛ばしの対策まで。

ノウハウ

SES事業をやっているとよく聞く「商流」や「商流飛ばし」。

先にまとめを記載します。

商流飛ばしについて
  • 商流とは、会社間の契約関係のこと。または、契約によるお金や人の流れのこと。
  • 商流飛ばしとは、複数社での契約中、特定の会社を除外して、再契約すること。このとき、除外された会社には連絡をしない。
  • 商流飛ばしはしないほうが良い。商流飛ばしは除外された会社に確実にバレる。また悪評が立つことによって、将来的に人材事業ができなくなる。

今回はそんな「商流」や「商流とばし」について説明していきます。

そもそも商流とは?

商流とは、商的流通の略称です。ビジネスにおいて、商品などの所有権が異動する流れを意味しています。

類似する言葉には、物流、金流があります。

物流は商品自体の動き、金流はお金の動きです。

こう聞くと、商流にはお金の流れが関係ないのかなおもうかもしれませんが、一般に商流と言ったときには商品所有権とお金の流れ、そしてその構造を指すことが多いです。

SES事業における商流とは

商流図で確認しよう

商流図とは、商流を図解したものです。

商流は商流図を使って説明することが多いので、今回も図にしてみます。

SES事業をやっていると、よくある商流図を見ていきましょう。

上記の商流の場合、SES会社は2社登場しています。

②のSES会社は、情報を仲介しているエージェントに過ぎません。なので、②のSES会社は、情報仲介料としてお金を頂いていることになります。

③のSES会社は、②のSES会社とは少し違います。エンジニアを社員として抱えているSES会社です。③のSES会社は、エンジニアを社員として所属させているため、「エンジニアの所属企業」と呼ぶことがあります。

商流が「深くなる」とはどういう意味?

先程の図では、登場するSES会社は1社でした。

商流が深い状態になった場合、登場するSES会社が多くなります。

例えばこんな感じです。

上記の図の場合は、SESの会社が1社増えたので、商流が1社深くなったと言います。

この図の場合は、所属会社は④のSES会社です。

図の状態は、発注元からみて、エンジニアは3社先の要員であるという表現をします。

注意点。商流飛ばしは業界のタブー

商流飛ばしとは?

商流飛ばしとは、商流の間に入っているSES会社を商流から外すことです。

先程の、商流が深くなった状態と比較して、上記の図の場合は③のSES会社が商流飛ばしを受けたことになります。

商流飛ばしをすることで、間に入っているSES会社が減るので、その分、手数料が減ります。減った手数料は商流飛ばしを行った会社(上記の図の場合は②④)が利益増分として獲得することが多いです。(基本的にエンジニアや、発注元に還元されることはありません。)

SESは良くも悪くも繋がりが広い業界なので、すぐに所属の会社がわかってしまいます。ですので、SESとして事業を行う際は、商流に入っている会社名を明かさないことが基本になります。

商流を飛ばすとどうなるの?

商流を飛ばすと、商流に残った企業は利益増をするとかきました。

利益は増えるのですが、当然デメリットもあります。

商流飛ばしをした会社は、他社から得ることのできる情報量が減ります

理由としては、商流飛ばしを過去にしたことがある会社は、今後も商流飛ばしをする可能性があるとみなされ、リスク観点から取引を停止されてしまうからです。

特定の会社から取引停止を受けている企業をいくつか知っていますが、その理由の大半は商流飛ばしによるものです。

SESの業界は良くも悪くも村社会ですので、一度商流飛ばしをすると、複数の会社との付き合いを失うと思ってください。

商流飛ばしはどうしてバレるのか

まず、商流飛ばしはほぼ確実にバレます。

バレる理由はいろいろあるのですが、

  • 商流飛ばしを受けた会社の営業が、所属会社の社員から連絡を受けた
  • 同じ発注元に入れてたエンジニアから情報が漏れる
  • 商流飛ばしの提案を受けた他のSES会社から、情報が漏れる

等様々あります。

商流飛ばしはできないものとして認識してください。

商流飛ばしの対策とは

商流飛ばしにあわないために、必ず対策をしておきましょう。

契約書で対策する

必ず契約書に、商流飛ばしの対策文面を入れてください。

  • 商流飛ばしをした場合は、その契約によって得られた単月金額の12ヶ月分のうち、35%を支払う
  • 入場させたエンジニアが、発注元に就職した場合は、そのエンジニアの年俸の35%を支払う

上記は必ず記載しましょう。

人のつながりで対策する

契約書での対策だけではなく、人間の情部分でも対策をしてください。

  • 面談に行く前に、エンジニアと人間的なつながりを持っておく。入場後も可能であれば面談を継続的に行う。
  • 商流でつながっている会社との関係値を保つ。契約している案件だけではなく、他にも情報を多く共有して、取引停止になると困る会社だということを理解させておく。
  • 商流飛ばしの情報を意識的に集める。商流飛ばしをしたことがある会社とは付き合わない

時間があれば書籍等で一度IT契約全般の知識を総ざらいしてください。

記事作成現在では、amazonアンリミテッド(読み放題)版も出ています。

まとめ

IT業界の商流飛ばしについて
  • 商流とは、会社間の契約関係のこと。または、契約によるお金や人の流れのこと。
  • 商流飛ばしとは、複数社での契約中、特定の会社を除外して、再契約すること。このとき、除外された会社には連絡をしない。
  • 商流飛ばしはしないほうが良い。商流飛ばしは除外された会社に確実にバレる。また悪評が立つことによって、将来的に人材事業ができなくなる。

SES事業において、商流を理解することは売上を作るために非常に重要なことです。

商流を理解していると、粗利率を上げるために浅い商流を攻める等の戦略にも活かすことができます。(商流が浅いほうが、関わる会社が減るので、1稼働あたりのマージンを多くとることができます。)

そのような中で、商流を浅くしたいからといって、商流飛ばしをすると、その後のSES事業が成り立たなくなります。

売上がほしいからといって、道徳に反したことをせず、日々の業務を積み重ねて売上を作って行きましょう。

コメント

  1. 匿名 より:

    といっても、勤務表を右から左に流すだけの役割しか持てなくなった会社はクライアント、エンジニアの両者にとって害悪でしかないので案件紹介料だけもらってさっさと退場願いたいところです

    • SesBusinessLab より:

      そうですよね!
      SES営業はマッチングだけではなくて、継続的に価値を提供できないといけないですよね。
      状況によっては、特定案件の収益を放棄することも選択肢になってくるのかもしれません。

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