必ずぶつかる2つの壁。SES創業の事業拡大に避けて通れない重要指標

ノウハウ

最近、SESで起業をしたいという相談を頻繁に受けるようになりました。

SESで会社を作っていくのは、事業難易度的には易しめだとは思います。ですが事業拡大や事業譲渡を見据えての起業となると、すこし話が変わってきます。

今回は、SESで起業したい、そして会社組織として成長させたいという人向けの内容になっています。長めの文章ですが、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

今回記事のターゲット
  • SESの事業責任者、または経営者
  • SES事業で起業を考えている人
  • SES事業において早期にマネージャーになりたいと考えている営業メンバー

今回の要旨を先に書くと、SES創業期に重要な指標は”早期戦力化”と”離職率低下”であるという話です。この指標を意識的に追うことができないと、SESの事業拡大はほぼ達成できません。至って普通の指標であるからこそ、なぜその指標が重要になるかを考える機会はあまりないのではないでしょうか?

営業組織を見てきた経営者や、早期にマネージャーに抜擢される人は、早い段階でこの2点の重要性に気づいています。

また、今回のお話は全体戦略と言うよりも、全体を見た上でキーとなる部分はここだという話です。長いですが興味ある方は最後までお付き合いください。

SESで起業し、事業拡大するにはメンバーを増やすしかない

SESの営業利益はどう構成されるのか

SESの営業利益は、以下のように分解して考えることができます。

ここでいうメンバーとは、営業メンバーやSESで外に出て開発してくれるメンバーが中心になりますよね。

自社でエンジニアを囲わない、営業のみの会社では、営業メンバーのみで構成されることになります。

では、上記図の要素に関連する特性を考えてみましょう。

SESの創業期には利益構造をどう考えればよいのか

先程の図を見ると、”メンバー数”は極力抑えて”メンバー1人あたりの営業利益”を最速で最大化していくことが重要だということがわかります。

「最速で最大化」と書いて居るのには理由がありまして、SESのような営業は、入社直後は営業単体での収支をプラスにすることが難しいというのが実情です。そのため、入社直後は”メンバー1人あたりの営業利益”がマイナスになりやすいため、「最速で最大化」が当面のミッションになるわけですね。(後述します。)

また、創業期は会社が潰れる(=会社の現預金がなくなる)ということだけは避けたいので、”メンバー1人あたりの営業利益がマイナスになっている状況では、”メンバー数”の増加は行わないのが通常です。

(SESの創業、事業拡大の経験者がいて、現預金が大量にあったり、別の武器がある場合は別です。)

メンバー数を増やす場合は、営業メンバーが何もしなくても3ヶ月程度は固定費を支払える状況、かつ、”メンバー1人あたりの営業利益”が新たに採用するメンバ-の固定費を支払える程度の規模になってから、”メンバー数”の増加を検討してください。

メンバー追加をできる状態にして、メンバー追加をしよう

”メンバー1人あたりの営業利益”には限界がきます。SES営業をやっているかたであればわかると思いますが、”稼働数”と”1稼働あたり営業利益”を高めることにはすぐに限界がやってきます

上記図を見ると、”会社としての営業利益”を最大化するには、伸ばすことのできる指標である、”メンバー数”を最大化することが重要であることがわかります。

(ざっくり言うと、”稼働数”と”1稼働あたり営業利益”は、最大化してもすぐに上限がくる。なので他の指標である”メンバー数”を伸ばしたほうが良い。という話です。)

メンバーを増やすために、営業メンバー単体での収支を考えてみよう

メンバーを増やせる状況というのは、”メンバー1人あたりの営業利益”を最速で最大化できる状況であったり、現金がある状況のことでしたよね。

この状況を作れればメンバーはどんどん増やせるわけです。逆にいうと、メンバーを増やすための下準備ができていないとメンバーは増やせません。

その状況を作るためにも”メンバー1人あたりの営業利益”についてもう少し考えてみましょう。

営業メンバー単体の収支構造を考える

下の図は、営業メンバー1名が入社してから退職するまでの営業利益を図にしたものです。

入社当初は営業単体としてはマイナスの営業利益になります。初月は契約ゼロ件なので、その営業人件費分は確実にマイナスになりますよね。

営業メンバーは入社してから5,6ヶ月で③の損益分岐点を迎えることになると思います。もちろん、優秀な営業であれば、分岐点はもっと早くに来ることもありえます。

営業単体の収支は②から①を引くことで求めることができます。

営業単体の収支を最大化するにはどうする?

営業単体の収支である②-①を最大化するためには、①を小さくして、②を大きくすることが必要です。

収支の最大化を実現するには、損益分岐点(③)を左にずらし、退職を右にずらすことが必要になります。

上記を見ると、以下のことが言えます。

  • ①を最小化するために、損益分岐点を左にずらす:早期戦力化をする
  • ②を最大化するために、退職時期を右にずらす:在籍期間を伸ばす(=離職率を低下させる)

※”在籍期間を伸ばす”ことは、結果的に”離職率を低下させる”を実現することで達成できますので、ここでは同義として扱います。

まとめ

まとめ
  • SESの事業拡大にはメンバー数の増加が必要
  • メンバー数の増加には、事前準備が必要
  • 事前準備とは、営業単体の収支をプラスにできる体制のこと

また、内容をふりかえると以下が重要であると言うことを書いてきました。

営業単体の収支を最大化するための2つの必要要素まとめ

  1. 早期戦力化する
  2. 離職率を下げる

上記の2つの項目を達成するためにどうすればよいの?と言う話はまた別の記事で書かせていただこうと思います。

ご相談などあればお問い合わせやコメントからご連絡ご意見いただけると嬉しいです。

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