SESやフリーランスの契約における退場について解説して行きます。
エンジニアに急に退場意向を伝えらると、クライアントとの調整が大変ですよね。逆にクライアントから契約終了のお話を受けることもあります。
今回はエンジニアの契約にはつきものである退場について解説していきます。
エンジニアの退職、退場とは?
退職と退場の定義
まずは退職と退場について理解しましょう。
- 退職:就職している会社から離れること
- 退場:担当している案件を離れること
簡単にまとめると上記のようになります。
退職は所属している「会社」を離れること、退場は担当している「案件」を離れることと理解しましょう。
退職と退場の違い
退職と退場の違いは会社を離れるのか、案件を離れるのかという違いです。
以下のような使用例があります。
今の案件がきついので、退場したいです
今の案件がきついので、退場はしたいけど、所属している会社は好きだから退職はしたくないな
退職するので、今の案件から退場しないといけないなぁ
契約中の退職、退場はできるのか?
結論から言うとクライアントに相談することで契約中であっても退職や退場はできます。
退職と退場は性質が異なるのでそれぞれ解説していきます。
契約中の退職はできるのか
退職は契約に関わらずできます。
このようにいうのも、「退職」ということは、現在会社組織に所属しており、その「会社から退職する」ということになりますよね。
会社からの退職は、原則2週間前に申告すれば退職することができます。
これに対して、「契約書に、退職時には1ヶ月前に告知すること、という内容が書いてある」という人がいます。ですが、2週間前に申告で退職できるのです。
退職する場合は今の案件から離れることになります。続いて退場について見ていきましょう。
契約中の退場、契約解除はできるのか
契約中の退場については契約内容によります。
業務委託契約では、契約者はエンジニアではなく、SESの会社もしくはフリーランスエンジニアが契約主体であると言えます。
契約主体である人は原則、契約中の退場はできません。ただし、クライアントへの相談をして、退職退場させてもらえなかった人は見たことが有りません。
SESにおいては、所属会社が契約主体となるので、所属エンジニア自身は先程の「2週間前告知の退職」と合わせて退職退場できます。
契約主体者であるSES会社やフリーランスエンジニアについては、退場意向がある場合は、クライアントに相談しましょう。
通常のクライアントであれば、業務のキリの良いタイミングや、引き継ぎ先エンジニアが見つかったタイミングで退場させてもらえます。
クライアントとしても、退職意向のある人にいてもらってもパフォーマンスが発揮できないことは理解できています。退場意向がある場合は、早めにクライアントに相談して業務に負の影響を与えないようにすることが重要です。これはエンジニアのためだけではなく、クライアント含めてお互いに気持ちよく働くために重要なことです。
辞め方は重要。次の仕事のために穏便に退職退場しよう。
業界は狭い。現場に悪影響を出さずに退職をしよう。
2週間前の告知で退職できるからといって、本当に2週間で退職退場することはおすすめできません。
クライアントへの相談なしに2週間退職退場をすると、「あの人は契約途中でやめる人」であったり、「後任に業務を引き継がずに辞めた人」などというレッテルがはられてしまいます。
ITや開発の業界というのは狭いです。きっと皆さんも別現場で一緒だった人と再度就業したり、共通の知り合いがいる環境で仕事をしたことがあると思います。
一度ついたマイナスイメージはなかなか払拭することができません。
退職退場は穏便に。できればきれいにやめるための調整をしていきましょう。
相談されて嫌な顔をする人は基本的にいません。あくまで相談。すでに退職退場日時を決めた段階での相談は相談ではなく報告なので注意してください。契約を途中解除するためにどうするのか妥協点を探すという意味での相談です。場合によってはエンジニアがなにか情報する可能性もあります。
きれいに退職するための方法
とにかくクライアントに相談してください。
この時のクライアントというのは、自身の契約の直接上位に当たる人になります。
- SESやSIerで、所属会社がある人は、所属の営業に相談
- 営業はエンド企業に相談
- 間に入っているSES営業は上位のクライアントに相談
- フリーランスでエンド直契約をしている人はクライアントに相談
上記の流れを必ず守りましょう。契約の話が絡むので、契約の上位に当たる人に相談するということは絶対です。ただし、現場に入っているエンジニアが退職退場相談をするときは、契約をしているクライアントのビジネスサイド担当ではなく、現場リーダーへの相談からスタートするほうが無難です。
どうしても辞めたいときの退職代行
退職代行とは?
退職代行は2018年前後から認知度が増えたサービスです。このサービスを使うことで、所属会社やクライアントとのやり取りをせずに退職ができます。
例えばこちらのようなサービスです。
(退職代行やっているだけではなくて、退職した人に転職先を紹介する流れになってるのかな。事業としては面白そう。やるのは大変だろうけど。)
退職代行のメリット・デメリット
退職代行によるメリット
- 煩わしい書類のやり取りが1度で終わる
- 退職の引き止めや、上司からの嫌味等を聞かなくてすむ
- 会社側としても退職代行サービスを使うくらいの退職意思であれば、引き止めてまで働いてもらおうとはおもわない
とにかく煩わしいやりとり、ストレスなく退職できるということがメリットです。
退職代行によるデメリット
- 引き継ぎもせずに退職するのだというレッテルがはられる
- 退職がクセになる
- 退職した会社と良い関係地を継続することが難しい
簡単に会社をやめることができる反面、周囲からのマイナスイメージがついてまわります。
というのも、会社によりますが、転職時にはリファレンスチェックがあり、採用人事と転職者の共通の知人から真面目に働くひとなのかを簡単に確認されることがあります。
IT業界は狭いので、領域(EC、ゲーム、金融など)が同じ場合は、たいてい共通の知人がいるものです。
退職代行は使用したほうがよいのか
基本的に使用しないほうがベターです。
風評によるその後の就業機会の損失を考慮すると、使用しないほうが良いですね。
また、退職代行を使用するとしても、退職代行業者は弁護士ではないので、専門業務は行なえません。なのであなたの退職に関わる作業を代わりにやるだけです。
辞めたいなと思ったタイミングで気軽に相談してみてはいかがでしょうか?
就業環境に対する不満が爆発するまえに周囲に相談できる環境を作っておけるとよいですね。
(とは言え、どうしても退職したい、これ以上会社の人に関わりたくないという人もいると思います。そういった方は退職代行サービスを使って退職して良いと思います。精神的負担が高くなる前に手を打ちましょう。)