今月もまた月末がやってきました!
予算達成している人もしていない人も、最後の追い込みをしていることかと思います。
追い込みをするにしても、クロージング力のある人、ない人では成果に大きく差がつきます。
今回はそんなクロージングについて考えてみました。
なぜクロージング力が必要なのか?

営業は確率である。少しでも確率をあげよう
まずはクロージングがなぜ必要か考えます。
クロージングが上手い人とヘタな人は、短期的な成果で考えると、ほとんど差がない様に見えます。(一見、運によって成果が左右しているように見える。)
ですが、面談から成約までの決定率を分析すると、クロージングがうまい人とそうでない人には約3倍程度の開きがあるんです。
決定率が3倍異なるということは、同じアクションをした場合、成果が3倍異なるということになります。
SES営業の場合、月で考えると、クロージングの影響がわかりづらいのですが、年ベースで考えると大きな差が開いています。
クロージングはあなた自身のためだけではない。クライアント企業のためでもある。
「クロージング」という言葉に、ネガティブなイメージを抱いているひともいるのではないでしょうか?
クロージングについて説明すると、「相手が求めていない商品を勧めたくない」「本当は欲しくない商品を営業の力で売る」と言った先入観を持っている人が少なからずいます。
営業はインサイト営業、ソリューション営業と言われる様に、クライアントの成長支援をする職種です。
SES営業において、クロージングができないと、クライアントの人材確保が失敗に終わることがあります。SESで紹介するフリーランスエンジニアは、その時必要な即戦力を求められることが多くあります。クライアントに「その時」必要な即戦力を提供するためにもクロージングは必要なのです。
実際にあった例でお話すると、すぐにオファーを出せば入場をしてくれるエンジニアがいる状況で、「もっと良いエンジニアに会えるかも」と思ってクライアントはオファーをしませんでした。そうして回答を保留にしているうちに、そのエンジニアは他の会社に入場してしまいました。更に悪いことには、他のエンジニア候補が出て来ず、そのクライアントの開発現場はハードワークを強いられることになってしまいました。
上記の例はSES営業が、クライアントにしっかりと状況説明をしておけば避けられた状況です。
クライアントは業務委託やSESのエンジニアの心理を理解しているわけではないので、SES営業はプロとして、状況を正しく説明し、クライアントをより良い方向に導く必要があるのです。この「より良い方向に導く」という手段の1つがクロージングです。
クロージングの基本と考え方

クロージングの基本は「意思決定させること」
クロージングはクライアントに意思決定をさせることです。
このとき、意思決定は必ずしも商品を購入することではありません。
今回商品購入しなくても、将来的な見込み顧客にするという営業も立派なクロージングであると言えます。(その場合は、「クロージングをおこなったけど、成果につながらなかった」ということになります。)
基本を実践するためのステップ
基本である意思決定は、どうやれば達成できるのでしょうか?
意思決定にはステップがあります。
- 課題の特定
- 目的の構造化
- 選択肢の洗い出し
- 意思決定
上記のステップを情と理の両方で進めます。
情と理は、ロジックとマインドと言い換えることができます。
上記のステップを踏むには、ヒアリング>共感>提案>クロージングを行うことが効果的と言われています。
実践想定。SES営業のクロージングでよくある例。

クライアントが意思決定をできないとき
他の候補者を見たい
この場合は、面談したカスタマーがスキル充足しているかどうかに関わらず、とにかく他の人を見たいという主旨であることが多いです。
ここで現在の候補者を採用しなかった場合の選択肢を提示しましょう。
- 採用する。現在面談に来たエンジニアを採用でき、最低限の仕事をしてもらえる。
- 他のエンジニアを待つ。現在面談したエンジニアは採用できない可能性が高い。他のエンジニアと面談できる可能性も低い。
上記の選択肢をクライアントに明示してあげましょう。通常の人事であれば、1の選択肢を選びます。
人事は「採用したい」と思えるエンジニアの候補が簡単には出てこないということを理解しています。なのでこの選択肢を出された場合、通常の人事であれば採用すると言う選択肢を出します。
ただし、この選択はクロージングをする時期に大きな影響を受けます。タイミングを考慮した上で提案をしましょう。
また、極論を言えば業務委託は入れ替えが可能です。今回は仮メンバーとして、面談したエンジニアに入場いただいて、継続して他のエンジニアを探すという約束をしましょう。そうすることで、そのクライアントと長期の付き合いができますし、あなた自身を会社の採用メンバーの1人として認識してもらえます。
単金が高い
通常、この理由で回答を保留されている場合は他の候補者がいます。
この場合は、クライアントに採用できる金額を確認しましょう。
金額が確認できたら、次はクライアントサイド、カスタマーサイド両面に金額交渉をします。
クライアントサイドへの交渉は、初月金額は低めに設定し、特定期間継続して契約する場合の金額まで設定してください。
カスタマーサイドへの交渉は、継続して入場していれば金額がアップするという話と、その条件を飲めばすぐにでも入場できるという話で交渉します。カスタマーは仕事がない”待機”という状態を最も嫌います。なので、とにかく早めに就業してもらい、他に良い案件があればそちらに移動するというお話で進めましょう。
プロジェクト状況が不確定
まれにですが、プロジェクトの状況が確定していないので、オファーが出せないという状況があります。
この場合はクロージングがとてもむずかしいです。プロジェクトの状況によってアプローチ方法が変わるからです。
この場合はクロージングはしません。
通常の営業ステップである状況ヒアリングに戻って、そもそも人材が必要なのかというところまでさかのぼりましょう。クライアントニーズの確認から行うことになります。
現場メンバーの賛同が得られない
この場合は「他の候補者を見たい」と同じです。
現場メンバーはもっと良い候補者がいるのではないかと思っています。
SES営業をやっているあなたであればわかると思いますが、「もっと良い候補者」はいません。
少なくともすぐに入場してくれる候補者はいません。
候補者がいない中で、現在の候補者を入場させないということは、プロジェクトメンバーは1名不在の状況でプロジェクトを回すことになります。苦しむのは現場メンバーです。
その状況を飲めるのであれば「他の候補者を見たい」の回答で良いと思います。ですが、苦しむ状況を避けたいのであれば、仮メンバーとして提案中の候補者を入場させてもらってください。
(そもそも現場メンバーが苦しむことによって耐えることができる状況なのであれば、採用の必要はありません。なので、基本的には採用するしかないです。)
エンジニアのやりたい技術と現場で使う技術が異なる
エンジニアと面談をしていると、今回の案件で使うスキルではないスキルを伸ばしたいと言ってくる候補者がいます。こういった候補者は、クライアントからすると、短期でしか就業してくれないのではないかという不安があります。
この不安は、エンジニアにとってもっと良い案件が見つかった場合にそちらに移ってしまうのではないかという不安から生まれます。
この観点でクライアントがオファーを出せないというときは、そもそも業務委託に対する考え方が間違っている場合が多いです。業務委託はあくまで短期的なメンバーです。長期で考えている場合は社員で採用するように伝えてください。
短期で抜けることが不安なのであれば、初回契約で必要な期間を契約しましょう。また、オプションで解除時には1ヶ月前告知をすることで解除ができるという条件をつけることでも保険をかけることができます。
まとめ

クロージングについてまとめてみました。いかがでしょうか?
- クロージングは意思決定を促すこと
- 意思決定を促すことは、クライアントのリスク回避のためである
- そのまま契約できない場合は、他の条件(契約期間や他の候補を並行して探す等)をつけて落とし所を探す
今回はクライアントサイドのクロージングについてまとめてみました。
SES営業はマッチングビジネスです。クライアントサイドのクロージングには、カスタマーサイドの協力も不可欠になります。
クライアントが成長するためにも、より多くの選択肢を提示し、より良い意思決定を促すためにもクロージングを積極的に行っていきましょう。