以前SESの仕組みを説明しました。
この記事を見た人から、結局どこから攻めるのか良いのか聞かれたのでこちらで解説します。
前提として、SES事業を立ち上げたばかりの会社であり、かつ、SES営業組織のみの「エンジニアを雇用しない」SES企業を作るという前提で解説します。
どの順番で攻めるのか考える
結論から書きます。
以下の順で攻めるのが順当です。
- BP(案件、要員どちらも持っている)を5社集める
- クライアント企業を30社集める
- BP5社を「エンジニアを雇用しているSES企業」に入れ替える
- カスタマー(フリーランスエンジニア)を集める
解説します。
BP(案件、要員どちらも持っている)を5社集める
まず初期状態である立ち上げ直後は、何も活用できる資産を持たない状態です。
事業は結局のところ、仕入れと販売なので、その2つの機能を作っていきます。
■仕入れ→エンジニアを集める
■販売→クライアント企業にエンジニアを紹介する。
2つの機能があって初めて売上が創出されます。
なので、2つの機能を同時に作ることができるBPを集めましょう。
「5社」と言っている部分については以下を参考にしてください
クライアント企業を30社集める
BPを5社集めると売上は立つのですが、おそらく伸び悩むと思います。
単月新規契約が多くて5件、かつ粗利率5%強、1契約あたりの契約期間が3ヶ月程度になると思います。
この数字は個人でやるには悪くない数字なのですが、会社組織として事業を行う場合は、事業拡大に踏み切れません。
事業として伸ばすために、以下の指標を目指します。
- 粗利率を業界平均の10%に引き上げ
- 1契約あたりの契約期間を半年以上
BPを中心とするSES営業は、中抜きでしかないため、抜ける利益も少なくなってしまいます。
利益を関わったBPで分けるので当然ですよね。
なので「利益に関わったBP」を減らすということを考えます。
BPをへらす場合は、
- クライアント側のBPを減らす
- カスタマー側のBPを減らす
のどちらかになると思いますが、クライアント側のBPを減らしたほうが効果的です。
理由としては、案件情報のほうがBPの需要があるからです。
なぜか。カスタマーを集めているBP(=エンジニアを雇用しているBP)は、プロパーエンジニアに案件を当てることができないと、単純にコストになってしまいます。
コストを出さないために、必死になって案件を取りに行きます。つまりは要員の安売りができるということです。売上ゼロよりは少しは稼いでもらったほうが良いですもんね。
逆にクライアントの案件情報を持っている会社は、それだけではコストにならないので、そこまで注力する必要がありません。なので案件に対して企業努力をする競合が居ません。
競合が比較的おらず、買い手が存在する案件を獲得するためにクライアントを先に集める、と言っています。
「30社集める」という部分についてですが、
- 1営業が保持できる稼働の数は50件程度
- 1クライアントあたりの案件数は3程度(=30クライアントあれば90案件)
という情報から、30社のクライアントが入れば十分と判断しています。
実際に売れている営業の数字を見ても、クライアント数は30社前後にとどまっています。
BP5社を「エンジニアを雇用しているSES企業」に入れ替える
前項で 「利益に関わったBP」を減らす と記載しました。
先程はクライアント側のBPを減らしたので、カスタマー側のBPを減らします。
この減らす方法ですが、最初に作ったBP5社を「エンジニアを雇用しているSES企業」に入れ替えます。
こういった会社はエンジニアに案件を当てることができないとコスト持ち出しになるので、案件情報を持っていくと喜ばれます。
前項で案件情報を獲得しにいったので、開拓も楽です。
開拓する際には、自身の持っているクライアント企業の分野とマッチしたSES企業を開拓してください。
BPは増えれば増えるほど、情報量は増えますが、すべての情報が成果につながる訳ではないので、注力企業は5社として、それ以上は注力しない様にしてください。
フリーランスエンジニアを集める
最後の総仕上げです。
BPをゼロにしにかかります。
これまでのステップを踏んだ状態ですと、関わっているBPは「エンジニアを抱えているSES企業」のみです。
このBPを商流から外すには、エンジニアと直接関わるしかありません。
この段階になってはじめて、フリーランスエンジニアを集客するサイトを作りましょう。
補足
とは言え、BPと関係を断つことは不可能です。
結局SESは村社会ですし、どんなに案件や要員を集めても、マッチできずに助けを求めたいタイミングは発生します。
「注力するBP5社」から外れたからといって邪険にBPを扱うのはやめましょう。