スキルシートや案件情報を大量に見ていると、単価にばらつきや「スキル見合い」という表記が出てきます。
エンジニア出身でない営業の方は、どういった人が金額が高く、どういった人が決まりやすいのか分かりづらいと思います。
今回はそんな単価について考えていきます。
単価ってなに?
先生!最近SES営業の流れを覚えてきたんですが、単価の話になると会話の流れを止めちゃうんですよね。
精算~とか言われても何がなんだかわからなくって・・・
そもそも単価って何のことかわかるかい?
わかりますよ!はたらいてくれたエンジニアに支払う金額のことです!
そうだね。エンジニアが働いてくれた分の1ヶ月分の金額のことを指すよ。
多くは1ヶ月に140時間から180時間はたらいた場合の金額のことを指すんだ。
なんで140時間から180時間なんですか?
普通の会社員の1ヶ月あたり勤務時間は160時間と言われているんだ。
1日の勤務時間は普通、8時間だよね?
この前提で、1ヶ月の会社の営業日はだいたい20日あるから、1日8時間*20営業日で160時間が普通の会社員の労働時間になるよ。
基準となる160時間を中心に前後20時間の幅をもたせているんですね!
でもその幅が必要になるのってどんな時ですか?
まずは140時間から説明するね。
普通の人は1ヶ月働くと思うんだけど、160時間を必ず守れる訳ではないよね?例えばお正月等の連休があったり、ゴールデンウィーク等では、普通に働いたら1ヶ月160時間は下回る可能性があるよね?
だから勤務時間が下回るための保険として、160時間を基準に20時間分調整幅をもたせているんだ。
そうなんですね・・・
じゃあ、180時間というのは出勤日数が多い場合のための保険ということですか?
簡単に言うとそういうことだね。
プロジェクト状況によって勤務時間に波があったり様々な背景はあるかと思うけど、基本的にそう考えてもらっていいとおもうよ。
今月は180時間働いて、チームとしてがんばったから、今月はチームの勤務時間を抑えて140時間にしよう、みたいな複数月にわけての稼働調整はあるかもしれないね。
勤務時間が180時間を超えた場合はどうなるんですか?
その場合はエンジニアに支払う金額を増加させることになるよ。
180時間より多く働いた場合は、金額を増加、140時間より少なく働いた場合は、金額を減少させるんだ。
この金額調整のことを「精算」というよ。
わかりました!
じゃあ、エンジニアに最終的に支払う金額は、基本の「単価」と、頑張った分やサボった分の「精算」から計算されるんですね!
そうだね。
サボった、というかどうかは別として、正解かな
金額は高いほうがいい?
レバテックやギークスの案件情報を見ることが多いんですが、単価が高い案件がいっぱいありますね!
なんとなくどんな分野で単価が高いのかわかってきました。
もうそんなサイトまで見れるようになったんだね。もしかすると一人前になるのはもうすぐかな?
そうなんです!僕も早く一人前の営業になれるようにがんばります!
単価の高い案件とエンジニアに注力して、今月の目標を120%達成できるようにがんばります!
いい心がけだね!
ただ、SESの営業においては、単価の高い案件やエンジニアに注力すれば売上が上がって、目標達成できるという訳ではないんだ。
えっ?
どうしてですか?単価が高いエンジニアのほうが優秀だろうし、単価の高い案件のほうがみんな働きたいですよね?
それはエンジニアや、お金を払う片方から考えるとそうなるね。
ただ、SESは2つの理由からちょっと違うんだ。
①SESはマッチングビジネスである。
②パートナー企業が関わっている
まっちんぐびじねす・・・ぱーとなー・・
それぞれ説明するね
①マッチングビジネスである
ということは、相手があってのビジネスということなんだ。
エンジニアと、案件(を持っている企業)をマッチングさせるのが私達の仕事になるわけなんだ。
その場合高い単価のエンジニアは企業にとって採用をより慎重にならざるを得ないよね?
また、単価の高い案件は非常に高いスキルや業務態度、成果を求める。だからエンジニアにとっても、単価が高いからといってうかつに受けることのできる仕事ではないんだよ。
それに高い単価を出せる会社がそんなにいっぱいあるとはおもえないしね。
そういうことなんですね。
単価が高いということは、高いだけの理由があるんですね。
そうなんだ。
じゃあ続けて②パートナー企業が関わっているについても説明するね。
SESでは案件やエンジニアを紹介するときに、SES業界を何社も経由して情報にたどり着くことがあるんだ。
この契約がきまった場合は、経由した会社にお金を払わないといけないんだよ。
この「経由する会社」を「パートナー企業」と呼ぶんだ。
単価の高いエンジニアは、パートナー企業がいくつも関わるとどんどん単価が上乗せされて金額がより高くなる。だからより決まりづらくなるんだ。
そんなことあるんですね・・
業界の闇みたいでなんとなく怖いです
そうだね
だから多重請負や偽装請負など、法的なリスクがあるとも言われているのがSES事業なんだよ。
しっかりした法のリスク管理や就業環境をよくするんだという倫理観がない経営者はSES事業をやってほしくはないですね。
決まりやすい単価は60万円台
決まりやすい単価はだいたい60万円台かな。
企業の人事側も諸々の費用合計して70万円程度であれば採用においてそれほど警戒しないと思うよ。
反対にとても安いエンジニアに注力するという営業戦略はどうでしょう?
一概には言えないけど、スキルはあるのに単価が安めという人は注力しないほうが良いとおもうよ。
相場通りの単価でないということは、何かしらの問題を抱えていることが多いんだ。
また、単価が高い人にも同じことが言えるよ。
スキルシート上だけの情報だとなんとでも書けるからね。単価、スキル、人間性すべてが高いという人はキレイに見える部分だけを強調している可能性もあるんだ。
そして、ほんとうに良い人材というのは、SES営業や人材紹介のようなエージェントたちの目には触れないことが多いとよ。
人気人材は、だいたいリファラル(人脈によるつながり)で仕事が決まってしまうからね。
たしかに、何かしらの問題を抱えていると契約期間も短くなったり、トラブルを起こす可能性も高そうですね。
単価を明示してもらえない場合もある
よく見る「スキル見合い」ってどういうことですか?
それは単価を決めることができない場合に使うことが多いよ。
人事担当者がそのスキルの市場観を理解していない場合や、エンジニアがとりあえず案件情報だけみて、そのなかから決めよう、といったときにつかうね
それって何もきまっていないってことなんじゃ・・・
そうなんだ。「スキル見合い」の場合は「相談してください」くらいに考えておいたほうがいいね。
ただ、「スキル見合い」と書いている人にも、それぞれの思惑があるので、ヒアリングをしっかりとして思惑を明確にしていくこともデキる営業のスキルだよ。